性行為の後に下腹部が重だるく感じたり、チクチクとした痛みを感じたりした経験はありませんか?
「そのうち治るだろう」と様子を見る方も多いですが、もしも行為のたびに痛みがあったり、激しい痛みが続いたりする場合は、身体からの大切なSOSサインかもしれません。
この記事では、性行為後に下腹部が痛む原因から、注意すべき症状のセルフチェック、そして医療機関での治療法まで分かりやすく解説します。
お一人で抱え込みやすいデリケートなお悩みだからこそ、正しく原因を知るところから始めましょう。
▼こちらの動画では、咲江レディスクリニックの丹羽咲江院長が、あまり知られていない「隠れ性交痛」について詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください▼
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Contents
性行為後に下腹部が痛くなる場合の好発部位を図にしてみました。

これらの箇所にピンポイントで痛みがある場合、該当臓器に何らかのダメージがある可能性があります。
万が一、性行為後に毎回下腹部の決まった場所が痛い場合は婦人科を受診しましょう。
性行為後に下腹部が痛む原因は、大きく分けて以下の7つが考えられます。
それぞれの原因について詳しく確認し、どれが自分に当てはまるかを確認していきましょう。
本来子宮の中にあるはずの内膜組織が、卵巣や腹腔内などさまざまな場所に増殖してしまう病気です。
生理痛が重くなることでも知られていますが、同時に性行為で強い痛みを感じる場合があります。
放置してしまうとさらに痛みが悪化したり、不妊症の原因になったりするため、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
「性感染症」と聞くと、かゆみやおりものの変化をイメージする方が多いかもしれませんが、実は「下腹部痛」も代表的な症状のひとつです。
クラミジアや淋菌などの病原体が体内に侵入し、放置して症状が進行してしまうと、炎症が子宮から卵管、さらには骨盤内へと広がっていきます。
これを「骨盤内炎症性疾患(PID)」と呼び、性行為の刺激によって強い痛みを生じる原因になります。
性行為後に下腹部痛を引き起こす主な性感染症には、以下のようなものがあります。
通常の排卵時にも軽度の出血がお腹の中に溜まり、腹痛が起こる場合がありますが、性交によって卵巣に圧力がかかり、出血量が増えてお腹の痛みを感じる場合があります。
性交のタイミングが排卵と重なってしまった場合は、卵巣出血や排卵痛が疑われます。特に卵巣出血の場合は1~2週間継続する可能性もあります。
また、稀ですがお腹の中に大量出血を起こすこともあります。
悪性ではなく、良性の腫瘍が子宮や卵巣にできる病気です。腫瘍の大きさや位置によっては、性行為後だけでなく行為中も痛みを感じる場合があります。
経過観察となる場合もあれば薬物療法や手術が必要となる場合もあるため、定期的な検診によって病気がないかチェックしていくことが大切です。
性行為後に膀胱が刺激され、下腹部の痛みとともに排尿痛や頻尿といった症状が現れる場合があります。
こうした性行為後の膀胱炎を「性交後膀胱炎」と呼び、主に女性がかかりやすい病気です。
残尿感があったり、排尿時に気張らないと出てこなかったりする場合は、なるべく早めに医師へ相談しましょう。
放置してしまうと血尿が出たり、腎盂腎炎へ進行したりする可能性があります。
性行為によってオーガズムに達した後、自律神経が乱れたり、筋肉が収縮したりすることで痛みを感じる場合があります。
性行為後にぐったりとして倦怠感があったり、下腹部痛に加えて頭痛を感じたりする場合もオーガズム後症候群が疑われます。
それほど症状が長引かず、時間が経つにつれて改善する場合が多いです。
性行為の体位や挿入の深さによって、子宮や膣が物理的に刺激を受けてしまい、重だるさや痛みを感じる場合があります。
挿入時、子宮口に届くレベルで強く刺激を加えてしまったり、膣の長さや性器の角度などの相性に問題があったりとさまざまな原因が考えられるでしょう。
こうした物理的刺激が影響している場合は、激しい動きを伴う性行為を避け、挿入角度や深さを調整し、パートナーとコミュニケーションをしっかりとって、お互いがリラックスしながら行うことが大切です。
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性行為後の痛みには経過観察で問題がないものもあれば、重大な疾患が隠れている場合もあります。
次の症状が見られる場合は、様子見をせず、すぐに医療機関を受診しましょう。
じわじわと広がるようなにぶい痛みではなく、突如として走る激しい痛みは、卵巣出血や卵巣腫瘍の捻転・卵巣腫瘍の破裂といったトラブルが考えられます。
緊急を要する症状の場合も多いため、すぐに医療機関を受診してください。
最初は違和感程度だったにも関わらず、時間が経つにつれて痛みが増していく場合、炎症が進行している可能性が考えられます。
先ほどご紹介した「骨盤内炎症性疾患」などが疑われるため、こちらも早急に医療機関を受診しましょう。
性交後から時間が経っているにもかかわらず痛みが引かない場合や、翌日以降も違和感が残る場合は、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気が疑われます。
症状が進行するとさらに痛みが増すことも考えられるため、耐えられる痛みであっても我慢せず、専門医に相談しましょう。
痛みだけでなく発熱や不正出血がある場合は、性感染症や骨盤内炎症性疾患の可能性が高いといえます。
他にも悪寒や悪臭のある分泌物が確認された場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。女性側だけでなく、パートナーも一緒に受診してもらうことが大切です。
性行為後の下腹部痛は、単なる一時的な痛みではなく、身体からの大切なSOSサインである場合があります。
「これくらいなら我慢できる」と放置してしまうと、気づかないうちに将来の妊娠に影響を及ぼす可能性も否定できません。
性行為後の痛みの原因が「子宮内膜症」や「性感染症」である場合、適切な治療をせずに放置すると、不妊を招く恐れがあります。
これらの疾患は、早期に発見して適切なケアを始めることで、不妊のリスクを最小限に抑えられる可能性があります。
すでに妊娠されている場合、性行為後の下腹部痛には特に注意が必要です。
妊娠中の身体は非常にデリケートで、通常時とは異なるリスクが隠れていることがあります。
もしも激しい痛みや出血を伴う場合、あるいは痛みが引かない場合は、切迫流産や切迫早産のリスクも考えられます。
自己判断で様子を見ず、すぐに主治医へ相談してください。
性行為後の下腹部痛は、すべてが病気によるものとは限りません。
まずは「自分でできるケア」を確認し、それでも痛みが引かない場合や違和感が強い場合には、医療機関への相談をご検討ください。
検査をしても特に病気が見つからない場合や、特定のタイミング(排卵期など)にだけ痛みが出る場合は、日常生活や性行為中のちょっとした心がけで痛みを軽減できる可能性があります。
膣の乾燥によって痛みが生じないように潤滑剤を用いたり、痛みを感じずに済む体位を選ぶことで、女性側への刺激を軽減できます。
お互いがリラックスした状態で行えるよう、部屋を暗くしたり、入浴で身体を温めたりすることもおすすめです。
性感染症にかかっていないか、性行為をする前にお互いが検査を受けて、安全な状態か確認することがとても大切です。性感染症があれば事前に治しておく必要があります。
性行為の前後は陰部を清潔に保ち、コンドームも使用して膀胱炎や性感染症のリスクを減らしましょう。
女性側にトラブルが起こりやすいと思われがちですが、男性側の状態によってお互いにトラブルが起こる可能性もゼロではありません。
排卵痛を伴うトラブルが気になる方は、基礎体温を記録するなどして排卵期を知っておくと便利です。
排卵期の性行為を避けることにより、痛みなどのトラブルを最小限に抑えられるでしょう。
近年は排卵や月経を管理するアプリも多数登場しており、これまでと比べて自分で管理しやすくなっています。
腸内のガスや便が骨盤を圧迫することにより、性交時や性行為後に痛みが出る場合があります。
水分や食物繊維を十分に摂取し、日頃から便秘の解消に努めましょう。
デスクワークをしている方などは運動不足になっている可能性も高いため、日々適度な運動を心掛けることが大切です。
痛みを我慢して無理に性行為を続けても、身体的・精神的にストレスが溜まってしまいます。
痛みのある場所を確認したり、体位の変更などの希望を伝えたりすることで、お互いに心地よい性行為ができるでしょう。
普段からパートナーと積極的にコミュニケーションを取り、要望を伝えやすい関係性を構築することが大切です。
病気が疑われる痛みの場合、自己判断で対処せず、専門医への相談が必須となります。
普段からかかりつけ医を持ち、トラブルがあったときはすぐに相談できるよう準備をしておきましょう。
関連記事:セックスの挿入時に痛い原因は?対処法や受診の目安を専門医が解説
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咲江レディスクリニックでは、痛みをもたらす原因を正確に突き止めたうえで、患者様一人ひとりのライフスタイルや将来のご希望(妊娠など)に合わせた最適な治療をご提案しております。
まずは鎮痛剤や抗炎症剤で痛みを和らげ、低用量ピルや黄体ホルモン剤を用いて病気の進行を抑える治療を行います。
症状が重い場合や不妊症の原因となっている場合には、手術を検討することもあります。
その際は、病診連携(病院とクリニックの連携)を通じて、ご希望に沿った専門病院をご紹介いたします。
子宮内膜症についての詳しい解説は、丹羽咲江院長のYouTube動画でもご覧いただけます。
クラミジア感染症や淋病、マイコプラズマ感染症の場合、早期発見であれば、適切な抗生物質の服用で治療が可能です。
治療後は、約2〜3週間の休薬期間をおいてから、治ったかを確認するために再検査を行います。
なお、性感染症治療の場合に大切なことは、患者様お一人ではなく、パートナーと一緒に治療を受けることです。
主に止血剤の処方を行い、安静にして経過を観察します。
ただし、出血量が多く腹腔内に血液が溜まっているような場合には、入院や手術が必要になることもあります。
その際も、適切な専門病院をスムーズにご紹介いたします。
毎月の排卵に伴う痛みがつらい場合には、低用量ピルや黄体ホルモン製剤を服用し、排卵自体を抑制することで根本的な痛みのケアを目指します。
筋腫の大きさや症状の強さに合わせて、薬物療法や手術療法を選択します。
【症状が比較的軽い場合、筋腫が大きくない場合】
【症状が強い場合、筋腫が大きすぎる場合】
この場合は、病診連携にて適切な病院をご紹介いたします。
腫瘍の大きさや種類によって、経過観察・薬物療法・手術の3つから選択します。
手術が必要な場合には、病診連携にて専門病院をご紹介いたします。
主に抗菌薬(抗生物質)を数日間服用いただくことで治療します。
明確なガイドラインは未だありませんが、現れている症状に合わせた対症療法を行います。
痛みの原因がパートナーとの相性や方法に関連するものの場合、専門的なカウンセリングが有効です。
咲江レディスクリニックの院長は、全国でも数少ない「セックスセラピスト」の資格の有資格者です。医学的な視点だけでなく、お二人が心地よく過ごせるための具体的なアドバイスや指導をさせていただきます。
性行為後の下腹部痛に関して、患者様からいただくことの多いご質問を、回答とともにご紹介いたします。
下腹部の左右には卵巣があるため、片側だけに痛みを感じる場合は、卵巣に関わるトラブルの可能性があります。
主な原因としては、排卵期の痛み(排卵痛)や、卵巣嚢腫、卵巣出血などが考えられます。また、稀にですが子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性も否定できません。
痛みが継続する場合や、違和感が強い場合は、早めにご相談ください。
妊娠中の身体は非常にデリケートです。
性行為後の下腹部痛がある場合、切迫流産や、万が一の子宮外妊娠などさまざまなリスクが隠れています。
「いつもの痛みだろう」と自己判断せず、赤ちゃんとお母さんの安全のためにも、速やかに当院までご相談ください。
出産後や授乳期は、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が一時的に減少します。
エストロゲンには膣のうるおいや弾力性を保つ働きがあるため、この分泌が減ることで膣が乾燥しやすくなり、性交時の痛みや下腹部の重だるさを引き起こしやすくなるのです。
一時的に痛みを和らげる目的で、市販の鎮痛薬(ロキソニンやアセトアミノフェンなど)を服用して様子を見ることは可能です。
ただし、薬で痛みを抑えるだけでは、背景にある病気の発見が遅れてしまう恐れがあります。
痛みを繰り返す場合や、薬が手放せない場合は、一度しっかりと婦人科で原因を調べることが大切です。
もちろんです。
性行為後の痛みだけでなく、挿入時の痛みや「何となく性生活を楽しめない」といった性交痛全般のお悩みについて、いつでもご相談いただけます。
咲江レディスクリニックでは、女性医師による丁寧な診察はもちろん、セックスセラピストの資格を持つ院長によるカウンセリングも行っております。

性行為後の下腹部痛には、排卵や一時的な物理刺激によるものだけでなく、子宮内膜症や性感染症といった「将来の健康や妊娠」に関わる重大なサインが隠れている場合もあります。
愛知県の咲江レディスクリニックでは、丹羽咲江院長をはじめとする女性スタッフが、あなたのお悩みに心から寄り添います。
「ちょっと気になるかも」という初期の段階だからこそ、受診するタイミングです。
あなたの大切な身体と、パートナーとの幸せな時間を守るために、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
スタッフ一同、あなたが笑顔で毎日を過ごせるよう、全力でサポートさせていただきます。
